タイのSOTUS(ソータス)制度とは？実際に存在するのか徹底調査！

タイの「SOTUS／ソータス」制度とは？実際に存在するのか徹底調査しました！

タイBLドラマのタイトルにもなっている「SOTUS／ソータス」ですが、ドラマ内では新入生教育制度として大学の先輩が後輩を厳しい命令を下し、不満に耐えながらも先輩に反抗することは許されない。ということですが、実際にタイではSOTUS制度というものがあるのでしょうか？

また、タイでは出家や徴兵制といった伝統的成人儀礼があることもSOTUS制度と関係があることが分かりました。

タイのSOTUS制度が本当にあるのか？その制度の内容、実態について徹底調査しました。ぜひ最後までご覧ください。

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タイの「SOTUS／ソータス」制度とは？
タイBLドラマ「SOTUS／ソータス」とは？
まとめ

タイの「SOTUS／ソータス」制度とは？

SOTUS制度とは？

タイＢＬドラマの「SOTUS／ソータス」では、

SOTUS

Seniority：敬意
Order：秩序
Tradition：伝統
Unity：団結
Spirit：精神

と呼ばれる新入生教育制度があります。

先輩が新入生に対して厳しい課題・命令・試練を下し、新入生たちはそれに対して不満があっても先輩に反抗しないで従うことで新入生たちが成長していくという制度です。

ただ、このSOTUS制度はタイのドラマの中の話でフィクションでは？と思いますが、実際のところはどうなのでしょうか？！

ラップ・ノーンとは？

SOTUS制度について調べていくと、タイの大学では「ラップ・ノーン（รับน้อง）」と呼ばれるイニシエーション儀礼（ある集団や社会で、正式な成員として承認されること）があることが分かりました。

ラップ・ノーン（rap noong）とは、ノーン（น้อง：「後輩」、「弟」「妹」）を、ラップ（รับ：「受け取る」、「受け入れる」）するという意味の言葉。タイ全土の大学において、新学期に見られる活動のことを指す。その内容は、上級生が新入生に試練を課し、それを乗り越えることで、新入生が学科の成員として認められるというものであり、大学、学部、学科によってその形態は様々。活動の行われる単位は様々であるが、学科単位で行われるものが重視されている。
出典：「ラップ・ノーン」とは何か：タイの大学におけるイニシエーション儀礼の実態と機能（PDF）

ラップ・ノーンの目的とは？

タイの大学におけるラップ・ノーンは、学科単位に行われる儀式で、

目的としては、
１．バラバラの高校から一つの学科に集まってきた1年生同士の連帯を強めること。
２．高校を卒業し、大学に入学できたことで得意になっている1年生に、大学生活の厳しさを知らしめること。
３．入学後、大学生活で一番長く付き合うことになる1年生と2年生の絆を深めること。
４．学科に対する愛着、誇りを育てること。
出典：「ラップ・ノーン」とは何か：タイの大学におけるイニシエーション儀礼の実態と機能（PDF）

ラップ・ノーンを経て、新入生に大学生としての行動規範、「SOTUS」を身につけさせることを目的にうたっているそうです。

ラップ・ノーンの具体的な内容

実際のラップ・ノーンの活動日数は、「10日間＋終了後レクリエーション１日」という短期間なんだそうです。ずっと新入生教育制度が続くというわけではないんですね。

具体的な流れは、

（１）準備期間。高校を卒業したばかりの入学予定者が、新2年生によって呼び集められる。
（２）活動。新学期開始から約2週間の期間に渡り、放課後新入生は3，4年生に呼び出され、毎日数時間に渡ってワーク、ブーム、歌の練習などが行われる。
※ワーク…3，4年生が新入生に言葉の暴力を浴びせ、罵倒する行為。ブーム…学科の掛け声。体育祭のエールや飲み会のコールと呼ばれているものに近い。
（３）受け入れ。新入生たちが良く試練に耐え、Y学科の学生たるSOTUSを示したことが認められ、3，4年生たちは、新入生を後輩とすることを宣言する。新入生を囲み、蝋燭を灯し、歌を歌う。ひとりひとりの手首にサーイシンが結ばれる
※サーイシン…年長者から結ばれることでお守りとなる紐
（４）レクリエーション。ラップ・ノーン最終日の翌日、後輩と先輩として学科の学生全員が集まり、草すべりなどのゲームをして打ち解ける。新入生には学科の通称が与えられる。
出典：「ラップ・ノーン」とは何か：タイの大学におけるイニシエーション儀礼の実態と機能（PDF）

上記の（２）がどれだけ辛いのか…ですが、タイではラップ・ノーンを否定する意見はごく僅かで、実施そのものを否定するのではなく、管理のもとで存続させるべきという意見があるようです。